宮崎 祥一 / ブランドプロデューサー
Honeywell、Experian、Teradata、Avanade、SAS Institute などの国際企業でアナリティクスのビジネス開発に携わった経験を活かし、オーセンティックマーケティングを通じて、価格競争に陥らない強いブランド作りを支援しています。オーセンティックマーケティングは、企業が本質的な価値を顧客に伝え、持続可能な成長を目指すための戦略です。このブログでは、そうした戦略や実践例を詳しく解説しています。
今日の論点
顧客に刺さる提案をするために
ペルソナとは、顧客をひとりの人物像をまでに、絞り込んだものを指します。ひとりの人物像まで落とし込んでしまって、それ以外のお客様を切り捨てて大丈夫なのか・・・そう、その通り。それ以外のお客様を全て切り捨てるのです。
市場が狭くなるのではないか、それによって売上が大きく落ち込むのではないか、そう心配する人が出てくると思いますが、その心配は全く無用です。
市場が大きくなれば、それにともなって競合他社が増加しますので、結局、価格競争に陥ってしまうので、そもそも利益など出ません。
まぁ騙されたと思って、対象をひとりの人物像まで絞り込む利点について、一緒に見ていきましょう。
目次
1.1 ペルソナを作成するプロセス
2. ペルソナを活用する理由とは
2.1 刺さる商品開発が可能になる
2.2 プロモーションの取捨選択が早くなる
2.3 社内での情報共有が簡単になる
3. まとめ
3.1 ペルソナの設定は顧客分析のあと
1. ペルソナで顧客に刺さる提案を考える
1.1 ペルソナを作成するプロセス
「ペルソナ」とは、自社の顧客をひとりの人物像にまで絞り込んだものを指します。価値観やライフスタイルなどを具体的に設定することで、顧客のニーズを明確にして、刺さる提案をすることを目的としています。
このペルソナと似た言葉として「ターゲット」がありますが、こちらは顧客の、年齢、性別、住所、職業、学歴といった属性情報によるグループ化のことです。
実務で使用できるペルソナを作成するには、まずターゲットを分析して、グループごとの嗜好性や購買行動などを把握しなければなりません。その後に、ひとりの人物像まで絞り込んだペルソナを設定しましょう。ペルソナは誰かの頭の中で作られた仮説ではなく、データに基づく人物像であることに注意してください。
あと、わざわざペルソナを設定するのは、商品開発やプロモーションを実施する上で、この人物が「なにに困っているのか」であるとか、「どのような解決策を必要としているのか」などについて、具体的にイメージをしやすくするためなのです。これによって、プロジェクトを円滑に進めることができるようになるのです。
近年、特に顧客のライフスタイルが多様化してきていますので、このペルソナを設定することにより、顧客のニーズを外さない刺さる提案ができるようになります。
2. ペルソナを活用する理由とは
2.1 刺さる商品開発が可能になる
顧客のデータを分析した結果だけでは、ターゲットとするセグメントが、どのような購買行動を取るのか、なかなかイメージが湧きません。
ペルソナを設定して具体的な人物像にまで絞り込んであれば、それを使ってシミュレーションをすることが容易になります。商品が2種類あった場合、どちらを好むのか、どのような場合に商品を必要とするのか、どの様な頻度で購入するのか、ペルソナを頭の中で具体的なアクションを取らせることによって、購買行動を把握することができるようになります。
なおこのペルソナは、実際の顧客データに基づいて設定されていますので、購買行動を頭の中でシミュレーションしても、現実の購買行動から大きく外れることはありません。
2.2 プロモーションの取捨選択が早くなる
過去の購買行動やアンケート調査などを分析することで、どの顧客層に対して、いったい何が売れたのか、その購買要因などを明らかにすることが出来ます。ただ顧客のプロファイルを複数設定したとしても、それら全てに対してプロモーションを行えるほど、潤沢なマーケティング予算はありません。
マーケティングの施策を実施するにあたって、当然ながら選択と集中をせざるを得ないのですが、セグメントごとに検討を加えて取捨選択していたのでは、プロモーションの実施までに多くの時間が必要となります。
ペルソナを設定していれば「ペルソナに響くプロモーションとはなにか?」という問いに答えるだけでよいために、具体的にどの媒体を使うのか、クリエイティブはどうするのか、露出頻度の設定はどうするのかなどについて、迅速に回答することが出来ます。
2.3 社内での情報共有が簡単になる
マーケティング活動において、最も労力のかかる作業のひとつが社内の調整です。途中からプロジェクトに入っていくる参加メンバーなどもあるため、コンセプトの共有化にかなりの時間を取られることになります。自分たちが狙っている市場はどのようなものなのか、提供する商品はどのような価値をもたらすのかなど、これらのコンセプトを理解してもらう必要があるのです。
ペルソナを設定して「私たちが狙う人物像はコレだ!」と説明したあと、詳細に入っていけば、理解も早く、ズレも少なくなり、プロジェクトを円滑に進めることができるよういなります。
3. まとめ
3.1 ペルソナの設定は顧客分析のあと
ペルソナを設定するのは、商品開発やプロモーションを実施する上で、とても便利だからです。ペルソナをベースにすれば、この人物が抱える課題や、その対策について、具体的なイメージが湧きやすくなります。またプロジェクトを進めていく上でも、社内における説明や調整の場面でも役に立ちます。
ただ「ペルソナ」を設定する事前準備として、顧客の嗜好や購買行動を分析しておく必要があります。高度な統計的手法を使う必要はありませんが、この部分を疎かにすると、現状が反映されていない「ペルソナ」が出来上がってしまいますので、注意が必要です。
あなたの会社でも「ペルソナ」の活用を是非試してみてください。