YouTubeの成長とビジネスチャンス - 効果的なビデオマーケティングの基本と視聴者へのアプローチ

リビングでスマートフォンを見る若い男女の画像の上に、「YOUTUBEの成長とビジネスチャンス - 効果的なビデオマーケティングの基本と視聴者へのアプローチ」と書かれている。

宮崎 祥一 / ブランドプロデューサー

SAS Institute、Teradata、Honeywellなどの国際企業でアナリティクスのビジネス開発に携わった経験を活かし、オーセンティックマーケティングを通じて、価格競争に陥らない強いブランド作りを支援しています。オーセンティックマーケティングは、企業が本質的な価値を顧客に伝え、持続可能な成長を目指すための戦略です。このブログでは、そうした戦略や実践例を詳しく解説しています。

宮崎祥一のプロフィール写真


今日の論点


動画を使ったマーケティングについて

コロナ禍において、私たちの生活様式は大きく変わりました。その中で、在宅勤務の普及と共に、YouTubeなどの動画プラットフォームの利用者数が急増しています。多くの人々が情報収集やエンターテインメントの手段として動画を活用するようになり、企業にとっては新たなビジネスチャンスが広がっています。

 

このブログでは、YouTubeの利用者数の急増をどのようにビジネスチャンスとして活かすかについて解説します。特に、ビデオマーケティングの重要性とその効果的な活用方法について詳しく見ていきます。動画コンテンツは、視覚的な訴求力や感情に働きかける力が強く、ブランド認知度の向上や顧客とのエンゲージメントの強化において非常に有効です。

 

これからのビジネス環境において、動画は単なるマーケティングツールではなく、顧客との重要な接点となります。ぜひ、この記事を通じてビデオマーケティングの可能性を最大限に引き出し、企業の成功に繋げてください。

 

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2021年1月時点で月間アクティブユーザー数は20億人超え・・・やるなYouTube (^^)

 



目次


1. ビデオマーケティングとは?


ジンバルに乗った動画撮影用のカメラと被写体の男性

1.1 ビデオマーケティングとは何か?


ビデオマーケティングは、動画コンテンツを使用してブランドを宣伝し、商品やサービスを紹介するマーケティング戦略です。この手法は、視聴者の興味を引き、エンゲージメントを高めるために広く利用されています。それではビデオマーケティングの具体的な特徴を見ていきましょう。

 

1. 視覚的訴求力の強化: 動画は視覚的な情報伝達を得意としており、テキストや画像のみのコンテンツよりも、強いインパクトを与えることができます。

 

2. エンゲージメントの向上: 動画は視聴者の注意を引きつけやすく、感情的なつながりを築くことができるため、エンゲージメントを高める効果があります。

 

3. 情報伝達の効率化: 複雑な情報やプロダクトの使い方などを短時間でわかりやすく伝えることができます。動画を使うことで視聴者は直感的に理解しやすくなります。

 

4. SEO効果の向上: 動画コンテンツは検索エンジンの結果において高い評価を得やすく、Webサイトのトラフィックを増やす手段としても効果的です。

 

5. 多様なプラットフォームでの活用: YouTube、Facebook、Instagram、LinkedInなど、様々なプラットフォームで動画を配信することができ、多くのオーディエンスにリーチすることが可能です。

 

6. 共有性の高さ: 動画はSNSで共有されやすく、口コミ効果を狙うことができます。視聴者が共感したり興味を持った動画は、自然に拡散されることが多いです。

 

7. コンバージョンの促進: 動画を活用することで、商品の購入やサービスの申し込みなど、具体的な行動を促進する効果があります。特に製品デモや顧客の声を動画で紹介することで、信頼性が高まります。

 

8. ブランドの個性やメッセージの伝達: 動画を通じてブランドのストーリーや価値観を視覚的に表現することで、ブランドの個性やメッセージを効果的に伝えることができます。

 

 

最近では、何かを調べる際に、検索エンジンではなくYouTubeを使う人が増えています。直感的に理解できる動画は、ユーザーにとって非常に利便性が高いからだと思います。

 

 


1.2 なぜビデオマーケティングが注目されているのか?


ビデオマーケティングが注目を集めている背景には、いくつかの重要な要因があります。以下にその主な要因を挙げます。

 

/ 技術的要因 /

インターネットの普及と高速化:動画視聴が容易になり、4Gや5Gなどの高速通信が普及したことで、大容量の動画コンテンツをストレスなく再生できるようになりました。これにより、消費者は高品質な動画を手軽に楽しむことができます。

 

スマートフォンとモバイルデバイスの普及:スマートフォンやタブレットの普及により、ユーザーはいつでもどこでも動画を視聴できるようになりました。モバイルデバイスの進化に伴い、動画視聴の機会が増え、動画コンテンツの消費が日常化しています。

 

クリエイティブツールと制作コストの低下:動画制作ツールや編集ソフトの進化により、プロフェッショナルな動画を低コストで制作できるようになりました。これにより、小規模な企業や個人でも高品質な動画コンテンツを手軽に作成し、マーケティングに活用できるようになっています。

 

 

/ プラットフォームとメディアの進化 /

ソーシャルメディアプラットフォームの成長:YouTube、Facebook、Instagram、TikTokなどのプラットフォームが成長し、動画コンテンツの主要な配信先となっています。これらのプラットフォームは、動画を簡単にアップロード、シェア、コメントできる機能を提供しており、企業が視聴者と直接コミュニケーションを取るための重要な場となっています。

 

アルゴリズムの進化:ソーシャルメディアや検索エンジンのアルゴリズムが進化し、動画コンテンツが優先的に表示されるようになっています。例えば、YouTubeの推薦アルゴリズムやFacebookのフィードでは、動画コンテンツが他の形式よりも高く評価され、より多くの視聴者にリーチしやすくなっています。

 

 

/ 消費者行動の変化 /

消費者の視覚的な情報へのニーズ:消費者は視覚的な情報を好む傾向があり、テキストよりも動画の方が理解しやすく、記憶に残りやすいことが多いです。特に製品のデモンストレーションやレビュー動画は、消費者が実際に商品を使うイメージを持ちやすく、購入意欲を高める効果があります。

 

競争環境の変化:多くの企業がビデオマーケティングを採用し始めているため、競争環境が変化しています。競合他社に遅れを取らないためにも、ビデオマーケティングは必須の戦略となっており、動画コンテンツを活用して差別化を図る企業が増えています。

 

 

/ マーケティングの効果と分析 /

データと分析の進化:動画コンテンツのパフォーマンスを測定し、効果を分析するためのツールが進化しました。視聴回数、視聴維持率、エンゲージメントなどのデータを活用することで、ビデオマーケティングの効果を最適化しやすくなっています。これにより、効果的な動画コンテンツの制作が可能となり、ROIの向上が期待できます。

 

SEO効果の向上:動画コンテンツは検索エンジン最適化(SEO)においても強力なツールです。Googleなどの検索エンジンは動画を好み、動画が埋め込まれたページは検索結果で上位に表示されやすくなっています。これにより、Webサイトのトラフィックが増加し、ブランドの露出が向上します。

 

 

ビデオマーケティングが注目を集めている最大の理由は、やはりスマートフォンの普及だと思います。携帯電話におけるスマートフォンの使用率は97%(*1)です。またインターネットを利用する際に、スマートフォンを使用すると答えた人は68.3%(*2)だそうです。

 

*1 : 2023年一般向けモバイル動向調査(NTTドコモ モバイル社会研究所)

*2 : 令和3年版 情報通信白書(総務省)



2. ビデオマーケティングの活用事例


スタジオで話をている女性をカメラで撮影している

2.1 具体的な活用事例


企業がマーケティング施策に動画を取り入れるのは、短い時間内に多くの情報を伝えることができるからです。例えば、企業のビジョンや信念を文章で説明するよりも、映像で表現することでより分かりやすく、印象に残るものにすることができます。

 

それでは、動画を活用した具体的なマーケティング施策を、いくつか見ていきましょう。


Nike:Nikeは多くの動画を制作していますが、その中でも代表的なものに「Unlimited You」というシリーズがあります。このシリーズは、オリンピックやパラリンピックに出場するアスリートたちの姿を描いたもので、それぞれのアスリートが困難に立ち向かい、自分の可能性を信じて挑戦し続ける姿勢を表現しています。このシリーズは、Nikeのコアなファンにはもちろん、スポーツやトレーニングに興味がある人々にも広く支持されました。


 Coca-Cola:ご承知の通りCoca-Colaは、世界中で親しまれている飲料メーカーであり、多くの人々に愛されるブランドです。Coca-Colaは、動画を通じて、人々の心をつかむために、様々なキャンペーンを展開しています。その中でも、特に印象的だったのが「Share a Coke」というキャンペーンです。このキャンペーンでは、人々の名前が入ったコカ・コーラの瓶や缶を販売し、人々が自分や友人の名前の入った製品を購入して、それをシェアすることを促しました。このキャンペーンは、人々の共感を呼び、大きな反響を呼びました。


Patagonia:Patagoniaはアウトドアブランドとして知られており、自然環境保護に熱心な企業です。Patagoniaは、自社のビジョンや信念を表現するために、動画を活用しています。例えば、「The Fight For Public Lands」という動画は、アメリカ合衆国の公共地を守るための取り組みを描いたもので、企業が自分たちが信じることについて、率直に表現することの大切さを訴えました。



3. ビデオマーケティング:ここを押さえろ!


POINTと書かれた積木とその上で光る電球

3.1 企業のビジョンや信念を伝える動画を作れ!


動画を使ったマーケティング施策は、企業や経営者のビジョンや信念を伝える上で、とても効果的な方法です。その中でも、企業のビジョンや信念を題材にした動画を作成し、それをプロモーションすることでファンを増やす方法は、とても大きな効果が期待できます。

 

動画を使ったマーケティングの成功の鍵は、視聴者に共感を与えることです。以下の3つの方法を実践することで、自社のビジョンや信念を共有するファンを増やすことができます。

 

1. ビジョンや信念を共有する人をターゲットにする:自社のビジョンや信念に共感する人をターゲットにすることで、より多くのファンを獲得できます。例えば、環境問題に取り組んでいる企業が、自社の取り組みをストーリーに盛り込んだ動画を制作し、環境問題に関心のある人々をターゲットにプロモーションすることで、より多くの支持を集めることができます。

 

2. 自社のビジョンや信念を明確に打ち出す:動画のストーリーには、自社のビジョンや信念を明確に盛り込むことが重要です。例えば、スポーツウェアブランドが、自社の商品を使って挑戦する人々を応援するストーリーを制作し、自社の「挑戦する人々を支える」というビジョンを表現することで、より多くのファンを獲得することができます。

 

3. 複数の動画プラットフォームを活用する:動画を制作したらYouTubeだけではなく、Facebook, Instagram, Twitterといった他の動画プラットフォームを活用しましょう。特に、コロナ禍以降、オンラインでのコンテンツ消費が増加しており、これらの動画プラットフォームは、より多くの人々にアクセスされるようになってきています。これらの動画プラットフォームを上手く活用することにより、より多くのファンを獲得し、自社のブランディングにつなげることができます。


3.2 ドキュメンタリー番組を見ろ!


企業のビジョンや信念を伝えるストーリー作りのためには、ドキュメンタリー番組の視聴をお勧めします。

 

主人公が成功者であり、社会的に注目される仕事や活動をしている場合、その仕事や活動について学ぶことができます。視聴者はその仕事や活動の知識を深め、新たな発見や気づきを得ることができます。

 

ただし、主人公が成功者でなくても感動を与えることはできます。売れない芸人、田舎から出てきた板前、リストラされたサラリーマンなど、彼らが苦境に立ち向かい困難を乗り越える姿勢は、視聴者に勇気や希望を与えます。このようなストーリーは視聴者にとって感動的であり、共感や理解を得ることができます。

 

さらに、成功者でない主人公のストーリーは視聴者にとって身近で共感しやすい特徴があります。成功者のストーリーは一般的に高いハードルがあるため、視聴者にとって敷居が高く感じられることがあります。しかし、成功者でない主人公のストーリーは視聴者が自分自身と重ね合わせて考えることができ、感動をより深く味わうことができます。

 

このように、ドキュメンタリー番組の構成を詳しく見ていくことは、感動を与えるストーリー作りのヒントになるのです。

 



4. ビデオマーケティングの実装ステップ


Implementation stepsの文字と5つの木の階段(ステップ)

4.1 実装するための具体的なステップ


ビデオマーケティング戦略の立案において、具体的なステップを以下に詳しく説明します。ただ企業ごとに置かれている状況が異なりますので、自社向けに調整することが大切です。ただ、具体的にプロジェクト化するまでは、それぞれの内容を詳しく知っておく必要はないかもしれません。

 

/ 計画フェーズ (Planning Phase) /

1. 目標設定:ビデオマーケティングの具体的な目標を明確に設定します。例えば、ブランド認知度の向上、新規リードの獲得、特定製品やサービスの紹介など、達成したい目的を具体的に定義します。この段階では、KPI(主要業績評価指標)を設定し、目標達成度を測る基準を明確にすることも重要です。

 

2. オーディエンスの特定:動画のターゲットとなるオーディエンスを詳細に定義します。デモグラフィック情報(年齢、性別、地域など)や、視聴者の興味・関心、消費行動パターンを考慮して、最適な視聴者像を描きます。ペルソナを作成することで、具体的なターゲット像を明確にすることができます。

 

3. メッセージの決定:動画を通じて伝えたいメッセージを明確にします。企業のビジョンや信念、製品の強みやユニークな価値提案を盛り込み、視聴者に共感してもらえるストーリーを構築します。このメッセージは、一貫性を保ちつつ、視覚的にも感情的にも訴求力のあるものにすることが重要です。

 

4. 競合分析:競合他社のビデオマーケティング活動を調査し、どのようなコンテンツが成功しているかを分析します。競合の強みや弱みを理解し、自社が差別化を図るためのポイントを見つけます。ベストプラクティスを学びつつ、自社のオリジナリティを加えることで、独自のマーケティング戦略を立案します。

  

 

/ 準備フェーズ (Preparation Phase) /

5. ストーリーボードの作成:動画のシーンごとの流れやカメラアングルを視覚的に表現するストーリーボードを作成します。シーンごとのビジュアルやアクションを詳細に計画し、動画全体の構成を視覚化します。これにより、撮影時の効率が向上し、意図したメッセージを正確に伝えることができます。

 

6. スクリプトの作成:動画の詳細なスクリプトを作成します。各シーンでの台詞やナレーション、映像の詳細、背景音楽などを具体的に記述し、視覚と音声のバランスを考慮します。スクリプトは、ストーリーボードと連携して使用され、撮影の際のガイドラインとして機能します。

 

7. ロケーションとキャスティング:撮影場所の選定と出演者のキャスティングを行います。必要な許可の取得やスケジュールの調整を含め、撮影環境を整えます。出演者の選定は、ターゲットオーディエンスに共感されるキャラクターや人物像を基に行います。

 

8. 機材とツールの準備:撮影に必要なカメラ、照明、音響機器などを準備します。また、映像制作ツールのセットアップも行い、スムーズな制作プロセスを確保します。機材の準備は、予期せぬトラブルを防ぐために綿密に行います。

  

 

/ 実施フェーズ (Execution Phase) /

9. 撮影:計画に基づき、実際の撮影を行います。ストーリーボードとスクリプトに従い、各シーンを順次撮影します。撮影中は、カメラアングルや照明、音響のバランスに注意し、最高のクオリティを目指します。撮影中の即時フィードバックも取り入れ、必要な修正を行います

 

10. 編集:撮影した映像を編集します。シーンのカットやトランジション、音楽や効果音の追加、テキストの挿入などを行い、完成版の動画を作成します。編集段階では、視聴者の関心を引き続けるためのテンポやリズムも重視します。

 

11. レビューとフィードバック:完成した動画を内部でレビューし、関係者からのフィードバックを収集します。フィードバックをもとに、必要な修正を加え、最終的な仕上げを行います。これにより、動画の品質を確保し、期待通りの結果を得ることができます。

  

 

/ モニタリングフェーズ (Monitoring Phase) /

12. 公開:完成した動画をWebサイトやSNS、YouTubeなどで公開します。適切なタイトル、説明、タグを設定し、SEO対策も考慮します。公開時には、視聴者に対するアクションを促すコールトゥアクション(CTA)を含めることも重要です

 

113. パフォーマンスの測定:動画の視聴回数、エンゲージメント率、コンバージョン率などを詳細に分析します。Google AnalyticsやSNSの分析ツールを活用し、動画がどの程度視聴され、どのような反応が得られたかを評価します。

 

14. フィードバックの収集:視聴者からのコメントやフィードバックを収集し、動画の評価や改善点を把握します。視聴者の意見を積極的に取り入れ、次回の動画制作に反映させることで、より良いコンテンツを提供できます。

 

15. 最適化と改善:収集したデータとフィードバックを基に、次回の動画制作に向けた改善策を立案し、コンテンツの最適化を図ります。これにより、動画マーケティングの効果を継続的に向上させることができます。


4.2 絶対に外せない4つのポイント


ビデオマーケティングを具体的に実践する際に注意するべき点を紹介します。

 

1. ストーリーにビジョンや信念を盛り込む:繰り返しとなりますが、商品機能やスペックではなく、人物にフォーカスを当ててビジョンや信念を伝えることが大切です。視聴者は、企業がどのようなビジョンや信念を持っているかを知りたがっています。企業がどのようなことを大切にしているのかを伝えることで、視聴者は企業との共感を感じることができます。

 

2. 動画の長さは2分以内:多くの視聴者は、動画が始まってから最初の15秒以内に離脱する傾向があります。この段階で視聴者の興味を引き付けることが極めて重要です 。また、視聴者のエンゲージメントは最初の2分間は比較的安定していますが、その後、急激に離脱が増加します。視聴者が興味を持ち続けることができるように、動画の内容を工夫することが重要です。

 

3. わかりやすく伝える:動画内で伝えたいことを明確にし、わかりやすく伝えることが重要です。視聴者が動画を見て何を得ることができるのか、どのような問題を解決することができるのかを伝えることで、視聴者は商品やサービスに興味を持つようになるでしょう。

 

4. 映像や音声のクオリティ:動画制作において、映像や音声がある一定のクオリティに達している必要があります。クオリティの低い動画は不快感を与え、ブランドイメージに悪影響を与えます。映像は撮影や編集技術が求められるため、自社内で制作する場合は、専門的な知識やスキルを持った人材が必要です。また、外部委託する場合は信頼できる会社を選定することが大切です。

 

 

最近のビデオクリエイターは、映画のようにオシャレでカッコいい動画を作りたがりますが、重要なのはオーディエンスの趣向に合った映像を制作することです。映像がカッコよくても、メッセージが伝わらないようでは意味がありません。



5. ビデオマーケティングのメリットとデメリット


動画のメリットとデメリット

5.1 メリット


動画を使ったマーケティング施策には、多くのメリットがあります。ここでは、この方法論を採用したときのメリットについて、詳しく解説していきます。

 

1. 視覚的な表現でブランドイメージが向上:動画は映像を使ってストーリーを伝えるため、視覚的にインパクトのあるメッセージを伝えることができます。自社のビジョンや信念を盛り込んだストーリーを動画にすることで、消費者に対して自社の価値観やブランドの姿勢を伝えることができます。 また、視聴者はストーリーの中で自社の製品やサービスを使用している場面を見ることができ、自然な形で商品やサービスのイメージを構築することができます。このように視覚的に伝えることによって、ブランドイメージの向上につながることが期待できます。

 

2. 共感できるストーリーでファンが増加:動画は共感できるストーリーを伝えることができます。視聴者は自分自身をストーリーの主人公に置き換えることができ、共感することで親近感を感じることができます。そのため、共感できるストーリーを通じて、視聴者は自社ブランドに対する好感度を高め、ファンの増加につながることが期待できます。

 

3. 商品やサービスの理解が深まり購買意欲が高まる:動画は商品やサービスを使ってストーリーを構成することができます。視聴者は動画を見ることで、その使い方や特徴を実際に見ることができます。これによって商品やサービスに対する理解が深まり、視聴者の購買意欲を高めることができます。

 

以上のように、動画を使ったマーケティング施策には、多くのメリットがあります。自社のビジネスに合ったストーリーを構成し、視聴者に訴求することで、商品やサービスをより効果的にアピールすることができます。

 

さらに、SNSや動画プラットフォームなどを活用することで、広く多くの人々に情報を発信することができます。


5.2 デメリット


ビデオマーケティングには多くのメリットがありますが、一方でデメリットも存在します。以下にビデオマーケティングの主なデメリットについて説明します。

 

1. 制作コストが高い:ビデオマーケティングは他のマーケティング手法と比較して制作コストが高くなることがあります。高品質な動画を制作するためには、プロフェッショナルな機材、編集ソフトウェア、そして専門知識が必要です。これに加えて、出演者のギャラやロケーション費用などもかかるため、総合的なコストが高くなる傾向があります。中小企業やスタートアップにとっては、このコストが大きな負担となる可能性があります。

 

2. 制作時間がかかる:ビデオの企画から撮影、編集、最終的な公開までには多くの時間がかかります。特にストーリーボードの作成や撮影のスケジュール調整など、細かい作業が多く含まれます。このため、迅速に市場に出したいキャンペーンやプロモーションには不向きな場合があります。計画と準備に十分な時間を割かないと、質の低い動画になってしまうリスクもあります。

 

3. 効果測定が難しい:ビデオマーケティングの効果を正確に測定することは難しい場合があります。視聴回数や再生時間などの基本的な指標は把握できますが、視聴者が実際にどの程度ブランドに対して好意的な印象を持ったのか、購買行動にどのように影響したのかを定量的に評価するのは容易ではありません。また、視聴者のエンゲージメントを高めるための最適なアプローチを見つけるためには、継続的なテストと調整が必要です。

 

 

ビデオマーケティングは強力な手法ですが、コスト、時間、効果測定の難しさなどのデメリットも考慮する必要があります。

 

あと、映像制作の未経験者には、一度自分で動画を制作してみることをお勧めします。スマートフォンとフリーの編集ソフトがあれば、簡単に始めることができます。

 

実際に作ってみることで、どの部分が難しいのか、どのようなスキルが必要かを実感することができます。これにより、映像制作の基本を理解し、自分のスキルを向上させることができます。



6. まとめ


ジンバルに乗せたカメラを構える男性

6.1 ビデオマーケティングの今後の潮流


ビデオマーケティングは急速に進化しており、その将来には多くのエキサイティングな変化が予想されます。以下に、ビデオマーケティングの今後の潮流や未来についてまとめます。

 

1. パーソナライズされた動画:パーソナライゼーションが進み、視聴者ごとにカスタマイズされたコンテンツが増えていきます。視聴者の興味や過去の視聴履歴に基づいて動画の内容を変更する技術が進化し、より個別化された体験が提供されます。

 

2. ライブストリーミングの普及:ライブストリーミングは視聴者とのリアルタイムのインタラクションを可能にし、ブランドと顧客との関係を深めるツールとして注目されています。製品のライブデモやQ&Aセッションが人気です。

 

3. AIと機械学習の活用:AIや機械学習を利用して、動画制作プロセスの効率化や視聴者の行動分析が進んでいます。これにより、視聴者の嗜好に合わせたコンテンツの自動生成や最適化が可能になります。

 

4. 拡張現実(AR)と仮想現実(VR)の利用:ARやVR技術を活用した動画コンテンツが増加し、視聴者に新しい体験を提供します。特に、製品のバーチャル試用や没入型ストーリーテリングが注目されています。

 

 

ビデオマーケティングは技術の進化とともに多様化し、よりパーソナライズされ、インタラクティブで、没入感のある体験を提供する方向へ進んでいます。これにより、ブランドと消費者の関係はさらに深まり、効果的なマーケティング手法としての地位を確立していくでしょう。


6.2 自分で動画を制作したい人へ


映像制作はプロに任せるのが安心ですが、どうしても自分で撮影・編集をしたい方のために、基本的なカメラ設定を紹介します。最近では、自称ビデオクリエイターのYouTuberが増え、情報が溢れて混乱しがちですが、この設定を使用すれば、大きな失敗を避けることができますよ。

 

1. 書き出しフレームレート:30fps
一般的なモニターのリフレッシュレートは60Hzのため、30fpsで書き出すのが最適です。映画のように24fpsで書き出すと、3-2プルダウン(フレーム数の不一致による技術)でジャダー(カクつき)が発生しやすくなります。特に24fpsで撮影してパンやスライドを行うと、動きが不自然に感じられるため、このようなカメラワークは避けた方が良いでしょう。なお、テレビで放送される映画も3-2プルダウンが行われ、ジャダーが発生していますが、映画館では24fpsそのままで再生されるため問題はありません。同じ映画でも、テレビと映画館では見え方が異なるのです。

 

2. 撮影フレームレート:60fps

60fpsでの撮影は、後からスローモーション効果を適用できるため、編集の自由度が高まります。特に、30fpsや24fpsで書き出す場合でも、柔軟に対応できるメリットがあります。

ただし、60fpsを24fpsに変換する際はフレームの間引きが行われ、動きがカクつくことがあります。また、その24fps映像を60Hzモニターで再生すると、3-2プルダウンが発生し、さらにジャダー(カクつき)が目立つ可能性があります。これらの点を考慮して、撮影フレームレートを選ぶことが大切です。

  

3. シャッタースピード
撮影フレームレートが60fpsの場合、東日本ではシャッタースピードを1/100秒、西日本では1/120秒に設定しましょう。これは、蛍光灯などの人工光源によるフリッカー(ちらつき)を防ぐための設定です。地域ごとの電源周波数に合わせた適切な設定をすることで、映像の滑らかさとブレの少ない仕上がりを実現できます。

 

4. 解像度:FHD(1920×1080)
ほとんどの視聴者がスマートフォン、タブレット、パソコンなどで動画を視聴するため、FHD(1920×1080)の解像度での撮影と書き出しが最も適しています。この解像度であれば、十分な画質が得られ、4Kと比べても編集や保存が容易です。また、映像を110%まで拡大しても、視覚的にわかるほどの劣化はほとんど発生しません。

 

5. レンズ:50mm
50mmのレンズは、最も自然な見た目を提供する焦点距離として知られています。人間の視野に最も近い視角を持ち、映像に歪みが少なく、自然な見え方を実現します。この焦点距離は、被写体との距離感が自然に映るため、幅広い撮影シーンに適しています。なお、ミラーレスカメラでは、センサーサイズの影響で焦点距離が1.5倍になるため、35mmのレンズが適切です。

 

6. 絞り:f8~f11
多くのレンズは、絞り値がf8からf11の範囲で最も高い性能を発揮します。これにより、シャープな画質と広い被写界深度が得られ、映像全体がクリアに映ります。背景をぼかしたい場合でも、むやみに絞り開放を使うのではなく、まずは背景を整理することをお勧めします。これにより、映像全体がプロフェッショナルな仕上がりになります。

 

7. ホワイトバランス:オート
最近のカメラはホワイトバランスの自動設定が非常に優秀です。多くの場合、オートで自然な色合いが得られるため、特定の撮影条件を除いてはオート設定で問題ありません。

 

8. フォーカス:オート
オートフォーカスもまた、現代のカメラでは非常に正確で、ほとんどのシーンで信頼できる結果が得られます。動きのあるシーンでも、フォーカスが安定しているため、映像がぼやける心配はほとんどありません。特に、企業のプロモーション動画では、被写体が高速で移動するシーンはあまり多くないため、オートフォーカスで十分です。

 

9. カラープロファイル:オート
通常の撮影ではオートプロファイルで十分な結果が得られますが、特定の被写体に応じてプロファイルを切り替えることで、より効果的な映像が得られます。例えば、食べ物を撮影する際にはVividモードを使用すると、色彩が鮮やかになり、美味しそうに見せることができます。ただし、カラーグレーディング(映像の色調整)に深く踏み込むと、編集作業が複雑化し、時間がかかる場合がありますので注意が必要です。

 

10. 手ブレ防止策
三脚を使用して、安定した撮影を行うことが最も効果的です。もし手持ちで撮影したい場合は、ネックストラップを使用してカメラをしっかり固定するか、スタビライザーを使って手ブレを防ぐようにしましょう。これにより、プロフェッショナルな仕上がりが期待できます。

 

11. ライティング

適切なライティングは、映像のクオリティを大きく左右します。自然光を活用できる場合は、窓の近くで撮影するのが理想的です。室内撮影の場合は、複数の照明を使って被写体を均等に照らすことが重要です。キーライト、フィルライト、バックライトを組み合わせることで、立体感と深みのある映像が得られます。

 

 

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さて、ここまでストーリーが…、企業のビジョンが…、と言い続けてきましたが、最後にストーリーもビジョンも全く関係がない、ただ『カッコいいだけ』という映像をご紹介します。最近のビデオクリエイターが好むCinematic B-roll ってヤツです。企業のプロモーション動画では、ここを目指してはダメです。沼にはまります。それではサヨナラ(^^)/